対抗心







俺、郭 英士は大変困っている



「おう!英士、オッハ→」



今、話しかけてきたのことで俺は大変困っている

このという男、何かというと俺に

対抗心を(一人で)燃やして(一人で)勝負している

この間、と一緒にお弁当を食べてたら

が俺より早く食べ終わると小さくガッツポーズして

「よし!勝った!」って言ってたし・・・


はっきし言って

どうでもいいんだけど



やはり、こう一人で勝手に勝負されて

俺が知らない内に負けてるっていうのは

どうにも腑に落ちなくて

かと言ってみたく密かに対抗心を燃やすのもなんだなー

と思っている

このの俺に対する密かな対抗心に俺は困っているのだ

一体、どう対処したらいいのだろうか・・・



「オッハー・・・って古くない?」

「今、オレの中で流行ってるからいいんだよ」



相変わらず変なことを言う

は俺を見るとニヤリと顔を歪ませた。



「とっころで英士〜数学の宿題見せっこしない?」

「・・・別にいいけど」

「では早速」



は懐に手を突っ込むと

数学のノートとシャーペンを取り出した




どっから出してんの!?
というか、どうやってノートを入れてたのっ!!?





「ほらほら、英士。ノート見せろよー」

「あ、う、うん・・・」



動揺している俺を他所には文句を言ってくる

俺はノートを出して宿題の部分のページを開いた



「ふんふんふふん♪」



は鼻歌を歌いながら



答えを写していく


見せっこじゃなかったの!!?




「答え写さないで自分で解きなよ。
自分のためにならないでしょ」



俺がそういうとはノートに向かっていた顔を

ガバッと上げて、俺を見上げるように見つめる



「英士ってさーいつも“でしょ”って言ってるよな」



さっきの俺のセリフとは

まったくもって関係ない言葉が返された




「オレの調べでは一日に“でしょ”を言う平均は約36回だ」





や、そんな
くだらないことを
調べてないで
宿題やれよ







「よしっ!終わり!あんがとな英士!」



いつの間にやらは俺の宿題を写し終えたようだ

は自分の席に戻る

ちなみにの席は俺の目の前になっている



「そうそう、英士」



は顔だけ後ろに向けて話し出した



「何?」

「P46の問題5の答え間違ってぜ♪」



は勝ち誇ったような笑みを向けて

再び前に向きMDを聞き出した



P46の問題5っていうと・・・

ここ、俺当たるじゃん

タイミングよくチャイムが鳴る



「ちょっと、俺にその答え見せてよ!
さっき写させてあげたでしょ!?」



俺はの肩を掴んだ

するとは今度は身体をこちらに向け

思いっきり笑みを作った



「“答え写さないで自分で解きなよ
自分のためにならない・・・だしょ?”」


さっき俺が言ったセリフをが言う



ていうか、ていうか・・・


だしょって・・・!!?






「ちょっと、今の“だしょ”って!?」

「俺なりにアレンジしてみました〜」



ニヘラニヘラと笑う


その笑顔が気持ち悪い




「計算間違いだけだと思うからすぐに直せるよ
・・・あ、先生来た」



数学の先生が来たので前を向く

号令がかかる

俺は一生懸命、問題をやり直しながら

さっきのの“だしょ”について考えていた



あれ・・・やっぱり俺に対抗して“だしょ”って言ったんじゃ・・・








昼休み


今日もと一緒に昼飯を食べた

そして、珍しくも俺のほうがより早く食べ終わった



「あ〜あ・・・負けた〜〜〜」

「っ!」



なんとなくガッツポーズをしてしまった

こういった些細なことでもやはり“勝つ”のは嬉しい


はっ!何を思ってるんだ英士!

これじゃあと同レベルじゃないか!!




昼ごはんを食べ終わってから

俺とはサッカーのことを話していた

はサッカーではなくて剣道をやっているんだけど

何故かサッカーに詳しい

しかも、何故か剣道よりサッカーの方が上手い


「昨日の試合、面白かったね。
が好きっていってた選手のプレイ、なんか良かったよ」

だしょ!だしょ!?やっぱ、あの選手いいだしょ!?


の好きな選手の話題に触れて

は顔をほころばせて喜び

だしょを連発した



「えーと・・・あの、さ・・・・・・」

「何?」

「その、“だしょ”っていうのは・・・・?」

「英士に対抗してみた」




あぁ・・・やっぱり・・・



この日を境には語尾に“だしょ”をつけるようになった







☆ あとがき ☆

久々に笛短編夢を書きました〜

前々から暖めていたネタなんですよ「だしょ」

これはよく魔利が言ってしまうんですよね〜「だしょ」って

そうでしょ!って言おうとしたら

そうだしょ!って言っちゃって美依祢に「だしょ!?」って言われたのをよく覚えてます。