お化け屋敷体験記





交通事故でとある少女が死んでしまい

身体がバラバラになってしまうのを

あなたは偶然見てしまいます。

少女の身体を捜し

身体をくっつけてみましたが

右腕だけがありませんでした。

どうやらその右腕は古い神社に

飛ばされてしまったようです。

少女の事故の現場を

唯一見てしまったあなたは

彼女の右腕を取りに

行かなくてはなりません。

神社には彼女の右腕を守る社の主がいて

取りに来たあなたを襲います。

少女の右腕を取り返さなければ

あなたの夢に少女が出てきて

永遠に夢から出れなくなって

しまいます―・・・









えーと・・・

今、現在オレは桃城に拉致られて

3-6組がやっているという

お化け屋敷に来ております



うっわぁ・・・マジで帰りてぇ・・・



「・・・俺、やっぱりパスします」



そう言うと越前は逃げ出そうと向きを変えた



グワシッ!!



「抜け駆けはいかんよ。越前君」



オレは逃げ出そうとした越前の肩を思いっきり掴み

元の定位置へと戻した



「フシュウ・・・」



海堂の白いもやが青白くなっていた

海道・・・怖いのか・・・・・・?

オレも出来ることなら抜けたい

しかし、さきほどから並んで

しかも順番がもうすぐでまわってこようかというところまで

来てしまっている

抜け出しにくい・・・



キャ―――!!!!?!

ギャ――ァ――――!!

ギュワォア――――ァ!!



あぁぁ・・・

中から叫び声が聞こえるぅ・・・

なんか一部変な叫び声も聞こえたがあえてスルーしとこう



「うあぁ・・・マジで怖ぇー」



と、オレが言うと桃城、越前、海堂

手塚先輩(何故か一緒にいる)が変な顔をした



「は!?お前、今なんつった?」

「・・・・怖いなぁって。
これでもオレ怖がりなんだぞ!?
出来ればここから退散したいんだよ!!




「「「胡散臭ぇ―」」」


「はぁ!?胡散臭いって!!
オレ真面目に言ってんのに!!」




手塚先輩もそんな目でオレを見ないでくださいよっ!!



「手塚先輩は怖いって思わないんですか?」

「いや・・・怖いっていうのがよく分からないんだ」

「あぁ・・・そうですか・・・」



感情に疎いのかなこの人・・・


3-6は廊下にも装飾が施されていた。

ダンボールで廊下を一つのトンネルみたくして

周りが全部黒で塗られている

うん。いかにもお化け屋敷っていう感じだな

窓があるところは障子になっていて

いたるところにお札が貼ってあった。天井とか壁とか・・・


毎日骨太

交通安全


へぇ・・・全部四文字熟語になってるのかぁ

でも、毎日骨太は四文字熟語・・・なのか・・・?


弱肉給食

世界制服

竜崎スミレ


・・・なんか、ベタな間違い方してるよっ!!

しかも人名まで出てきちゃった!



「おーい次、俺達だぞー」



オレがお札を見つけて一人突っ込みしている間に

もう順番が回ってきてしまったらしい

係りの人がやってきて説明してきた



「すいません。ここ3人1組でしか入れないんですよ
ですから、1人はもう一回入ってくださると
残りの2人が入れるんですが・・・」



えぇ!?人数指定だったの!!?



「どうするんっスか?」

「グーパーで別れるっきゃねーだろ」

「3人になったところで
ジャンケンして負けた奴がもう一回入る・・・ってことか?」

「よく分かってんじゃん」

「それじゃあ、さくさくと決めちゃいましょうよ」



越前の言葉でグーパーを始めた



まずは、オレと越前と桃城チーム

そして手塚先輩と海堂チーム

さらにオレ等のチームでジャンケンをした



「しゃっ!!勝ったぜ!」

「ご愁傷様、先輩」



今日は厄日だ・・・

オレはジャンケンに負けてしまい

もう一回お化け屋敷に入ることになってしまった・・・・・

・勘弁してくれ



「はい。では次の方どうぞ〜」



もうオレ達の番になったのか・・・

オレは心臓をバクバク鳴らしながら中へと入って行った



「うわっ!暗っ!!」

「おっし、じゃあ進むぞー」



桃城を先頭に真ん中が越前、最後がオレ

という風に並んで歩き出した



ヒュッ!!


ガタゴトガタ



「ぅわっ!?なななな、何だ!!?」

「ただのマネキンっスよ」

「ただのマネキンって・・・!!バラバラじゃないかっ!!」



あーそういえば、このお化け屋敷の設定が

バラバラになった少女の身体が、うんたらかんたら・・・

だったな・・・・・・



「いや・・・よく見てみろ二人とも・・・」



桃城が妙に声のトーンを低くしてオレ達に話しかける

暗くてよく見えんが、目を凝らしてじぃっとマネキンを見てみた



・・・・・・・!!!!



「ぎ、ギャア――――さだ、さだ
・・・・乾先輩―――――!!?」



「先輩、煩いっスよ」

「いや、だって!乾先輩のバラバラ死体だぞ!!
しかもクリソツ!!!




オレがうろたえていると越前はスタスタと

乾先輩にそっくりなマネキン人形を持って

パーツを組み合わせ始めた


ていうか、設定には少女って

書いてあったけど少女じゃないしっ!!




「越前、お前・・・冷静だなぁ・・・」

「そうっスか?」



あぁ・・・なんか桃城と越前で検証してるし・・・



「やっぱり右腕だけないっスね」

「よし!んじゃ先に進もうぜ!」



狭い通路をハイハイで通って開けた場所に出ると

周りからわざとらしい猫の鳴き声が聞こえてきた

ここに来るまで背後から何かが

追って来てるんじゃないかと気が気じゃなかった・・・



「どこに行けばいいんっスかね・・・」



越前がそんなことを言っていたが

オレは塔婆に書いてある文字を読んでいた


ドーバー海峡一緒に渡ろう!

世界の中心でサッカーをやろう!



何コレ宣伝してるよ!!



ドンドンドンドン!!



どこに行きゃいいんだよーと、二人でブーたれていたら

ドア?らしきところから音が聞こえた

親切にも誰かがそのドアを開けてくれた

そのドアを開けてくれた人っていうのが・・・・


馬の頭を被って
四つんばいに
なってる人だった



オレ達3人はその人をジロジロと眺めてドアを潜って行った

うーん・・・アレ、あの頭・・・

見たことあるような気が・・・・・・・・・・・・・
!!



「ああ!!コレ!!この間
食堂の前に通ってた!
見た見た!コレ見た!!」




オレは馬を指差し、あらん限りの声を出して叫んだ

まさか、こんなところで・・・

お化け屋敷で使われてるとは

思ってもみなかったからな!


馬は呆然とオレ達3人を見送った

その後に出てきた、ジャイソンのお面をつけた人にも

動じなかった



むしろ、笑ってやった



一旦緊張の糸がほつれると、恐怖心なんてなくるもんだ







第二クール



ネタがわかっているオレにはもう怖くない

海堂のおどおどした仕草がなんと言っていいか面白い

手塚先輩はいつもどおり無表情だ



ヒュッ!!


ガタゴトガタ



「ぅわっ!?なななな、何だ!!?」

「あっはっはっは。ただのマネキンだよ海堂」

「いや・・・よく見てみろ二人とも・・・」



ネタはわかってるんだ。

どうせさっきの乾先輩クリソツマネキンだって

言いたいんだろうに



「これは・・・大石先輩!!!?」

「はぁっ!!?」



海堂が変なことを言うから

目を凝らしてじぃっとマネキンを見てみる


・・・・・・・!!!!



「ぎ、ギャア――今度は大石先輩――!?」


「・・・?今度はということはさっきは一体何だったんだ?」

「えっと・・・さっきは乾先輩・・・でした」

「飽きないように作ってあるのか。中々こっているな」



感心してるよ、この人・・・


その後はさくさくと進み

馬の頭を被った人と出会った場所についた



「これは・・・どこに進めがいいんだ?」

「フシュゥ・・・」



海堂が弱弱しく白もやを出した

なんかもう、一杯一杯っていう顔をしているな



「えーと・・・あそこに緑色に光ってるのがありますよね
あそこがドアになっているんですよ」

「そうか」



手塚先輩がダンボールで出来たドアを開ける

そこには何もいなかった

あれ?馬の頭は????



ゾワッ・・・!!!



オレの背後に気配を感じた



「クスv」




「ギャ――不二先輩―!!?」



いきなり背後に立たんでください!

しかも、なんか鎌持ってるし!!

それ・・・本物ですかぁ――――!!?





「早く逃げないと、首、ちょん切っちゃうよ」





と言ってオレ達に向かって走ってきた

底知れぬ恐怖が沸き起こってきた・・・

ていうか、怖ぇよっ!!

マジ怖ぇよっ!!!!




「!!!?!?」



それにいち早く対応し逃げ出したのが手塚先輩だった

さすが、テニス部部長・・・

それに続いて海堂も走り出す

二人とも、速えぇっ!!



「ちょっ・・・!!待って!置いてかないで!!」



オレも負けじと二人を追って走り出す



「ワァッ!!」

「ギャアァ!!」



オレが走り出した途端に菊丸先輩が飛び出してきた

そして、不二先輩と菊丸先輩とでオレ達を追っかけてきた



ズデンッ!!!



この時、オレはパニックに陥って

とにかく逃げなきゃと思い走ったのだが

足が足に絡まって転んでしまった



ズデンッ!!!



それにつられるように菊丸先輩も盛大にこけた


「英二がこけてどうするのさ!!」


と、不二先輩の冷たい声が辺りに響いた






ボロボロな姿でお化け屋敷から出ると

すでに外に出ていた手塚部長と海堂、桃城に越前に

笑われてしまった・・・・・・・・

オレはいいように話のネタにされてしまったのだ・・・

こちとら、心身ともに疲れきっているとういのに・・・!


くっ・・・これだから、お化け屋敷はっ・・・・・・!!













***あとがき***

スミマセン。これ・・・実話です。

実際に魔利が体験した話&友達から聞いた話を元に書いてみました。

これだから文化祭は面白いですよね〜

何が起こるかわからない!


はっ!今気づきましたけど

今回、名前変換が一回も無い!!?