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飛行機が飛び交う中

アナウンスの声が空港内を響きあがらせていた。

ここは、空港。

今さっき日本に着陸したばっかりの飛行機から

トランクをガラガラと引きずりながらやってくる

一人の少年がいた。

少年は日本に上陸してからの第一声を発した。



「ただいま、ニッポン・・・」

「お帰りなさい」



そんな彼に一人の綺麗な女性が声をかけてきた。

その女性は口元にうっすらと笑みを作っている。



「あんたは・・・!」












帰国











「えー今日から飛葉中に通うことになった
 転入生を紹介しようと思う」



飛葉中、2 - 2組では今日、転入生が来るらしい。



「紹介したいんだが・・・本人がまだ来てないらしくてな・・・」



学校に到着したという連絡はまだない。

もしかしたら何らかの事件か事故に

巻き込まれたのではないか・・・

なんせ、あの顔だし・・・

と、今日転入する生徒の資料の顔写真を思い出しながら

物思いにふけっていたところに教室のドアが開いた。





「すっいませーん。遅れちゃいました〜」



悪びれた様子もなくその転入生は教室へと入ってきた。

いきなり見慣れない人物が教室内に入ってきたからであろうか

あたりはシー・・・ンと静まりかえっている。



「あら?」



もしかして、自分が来ることを告げられていないのかと思い

転入生は不思議そうな顔をして首を傾げた。

その静寂を破ったのは担任教師だった。



「こ、コラ!転校初日からチコ・・・」

「きゃ〜〜〜〜〜〜vvvvVvvVvv」



教師の言葉は女子の黄色い悲鳴によって遮られてしまった。



「うおおおおお、かわえ〜〜!」



女子だけではなく転入生のその容姿に男子までも騒ぐ始末だ。



パンパン、と手をうってその場を静かにさせる先生。



「さ、自己紹介をしてくれ。HRも残り少ないから」



転入生はコクンと頷き自己紹介を始めた。



「初めまして。今日から飛葉中に転入する です。
 アメリカから日本へ帰ってきました。
 皆さん、これからよろしくお願いします」



普通に自己紹介を終えたがペコリとお辞儀をした。

そして、が顔をあげてからまた口を開いた。





「そうそう、言い忘れてたけど俺、“ ” だから」





すばらしいほどの笑顔で言ってのけたの言葉に

驚きの声が瞬く間にクラス中に広がった。

女顔のが私服を着ているせいで

女に見間違われてしまっていたのだった。

が私服を着用していることに今更ながら気づいたのか

教師がに問いかけた。



「ところで、、制服はどうしたんだ?」

「まだ、出来てないんですよぉ〜」



ヘラヘラと答える



「そうか・・・それじゃあの席は・・・と・・・・・・」



教師はキョロキョロを周りを見渡した。

そして、空いてる席を見つけた途端に

教師は困ったような困ったような顔をした。



「あそこしか空いてないし・・・しょうがないか・・・・・・」



独り言を吐くと、教師は後ろの席にいる奴に呼びかけた。



「黒川!」



そのころには、もうざわめきは治まっていて皆は

黒川 柾輝のほうへ向いた。



、あの黒い奴の隣だが、いいな」

「黒い人の隣ですね」



了解、と言うとはスタスタと柾輝の方へと歩いていった。

柾輝はというと、教師にも、ましてや転入生にも

黒い人呼ばわりされて、ちょっと不機嫌になっていた。



「黒川、の面倒よろしくな。それじゃ、HR終わり」



教師はスタコラと教室から出てった。

その時には、はもう柾輝の隣まできていた。

柾輝は改めてを見直すとある人物の顔を思い浮かべた。

その人物とは飛葉中のサッカー部の

部長を務めている椎名 翼だった。

もちろん柾輝もサッカー部に所属している。



―――・・・翼より、女顔だな・・・



そんなことを思いながらを見ていると、と目が合った。

すると、はにこーと笑った。



「え・・・と黒川だったよな。
俺のことは好きなように呼んでくれて構わないから」

「あ…俺は黒川 柾輝だ」



とりあえず自己紹介をしとく柾輝。



「よろしくね〜」

「よろしく」



そう言うと柾輝は席を立ち教室を出て行こうとした。





「?どこ行くんだ?黒?」





教室を出て行こうとしたが

の変な呼び方で出て行けなかった。



「なんだ・・・その呼び方は」

「何って・・・黒川 柾輝のあだ名」

「ど〜して、あだ名がそんな風になるんだ!」

「・・・あだ名をつけられるのがそんなに嫌なのか?
 それともなんだ、黒じゃ不満だったの?」

「犬みたいなあだ名をつけるんじゃない!」

「いいじゃん、そんな減るもんじゃなし
 それなら・・・
 黒っち、黒りん、黒々、クロロ、肌黒、クロマ
 さぁ、どれがいい!?

「なんで、全部、黒がついてるんだよ!」

「黒いから」



その言葉を聞いて、柾輝はもう反論する気も失せてしまった。

柾輝は溜息を一つ吐くと柾輝は



「もぅ・・・・勝手にしろ」



と言い教室を出て行ってしまった。



「・・・サボリか・・・・・・?」



その後すぐに女子生徒やら男子生徒達に

囲まれてしまったであった。

転入生にはお決まりの質問タイムだ。

柾輝はこれを予想して教室を出て行ったのであろう。






ところ変わって、ここは屋上。柾輝は屋上にあがっていた。

サボリにはもってこいの場所だ。

その屋上には人が数人たたずんでいた。

それらは皆、サッカー部だった。



「お前もサボリか?柾輝?」



柾輝に声をかけたのは先ほど紹介した椎名 翼である。



「ああ。一時間目はふける。
 次は体育のサッカーがあるから出るけど」

「そういや、今日お前んとこのクラスで転入生が来たんやってな」

「来たぜ」



井上 直樹の質問に答える柾輝。

その話題に乗って畑 五助が聞いてきた。



「へ〜ぇ。どんな奴?」

「っ・・・どんな奴って言われてもな・・・・・・」



柾輝は先ほどおこったことなどを思い出していた。

2-2組にやってきた転入生は一言で言えば変な奴だった。



「・・・変わった奴だった」

『『『『変わった奴?』』』』



柾輝の変わった奴というセリフに

皆してはてなマークを浮かばせている。



「見た目はどんな感じ?」



畑 六助が柾輝に違う質問をなげつけた。



「見た目・・・?」



柾輝はチラリと翼の方を見た。

そのときちょうど翼と目が合ってしまった。



「なんだよ」

「あーいや・・・そうだな、見た目はかわいい系だったな」

「へー。翼と比較するっていうことは
 かなりかわいいんちゃう?その転入生」

「おい、直樹。今のセリフ聞き捨てならないなぁ〜」



翼は笑顔で直樹に近づいて行った。

直樹の表情は段々と曇っていく・・・

直樹の命運は皆様のご想像にまかせることにしよう・・・



少しばかりその転入生の話で盛りあがった

飛葉中のサッカー部であった。

そのとき、柾輝は気づいていなかった。

ここにいるサッカー部員達は

女性として転入生に興味を持っていたことに・・・

一部を除いてだが・・・・・・







◆◇◆ あとがき ◆◇◆

やっと、お気楽少年シリーズ書けました・・・

あああぁぁ・・・下書きと全然違う・・・

ダメですね、その場の勢いで書いちゃうもので・・・

このシリーズきっと更新遅いですが

皆様見守ってやってください。




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