* *




―― …2時間目




2-2組は2時間目、体育の授業でサッカーをやることになっていた。

体育の授業はには1時間目の授業をふけた柾輝も出席している。

そんな様子を屋上でグラウンドを見下ろしている影が4つあった。

文字通り高みの見物である。



「柾輝、1人だけ黒いなー」



と言って、柾輝のプレイを見ている翼。



「ほんま。どこにいるか、すぐわかる」



翼の意見に賛同する直樹。



「あっ!何やってんだよ柾輝!」



突然、六助が叫んだ。
              ・ ・
グラウンドでは、誰かがあのサッカー部員である

柾輝のディフェンスを抜かしてゴールしたのだ。



「誰だ?アイツ。見慣れないけど」



五助が今さっきゴールした人物を見て言った。

あれだけ、目立つ髪の毛をしていたら

嫌でも目に留まるというのに一度も見たことがない。

もしかしたら、自分のタイミングが悪いだけで

最初からこの学校にいたのかもしれない。

そう思った五助であった。



「へ〜え。柾輝んとこのクラスにあんなに上手いやつがいるなんてね」

「何や翼、勧誘でもする気なん?」

「その方が、今後のサッカー部のためになるんじゃないの」



そう言って笑う翼であった。












対面











柾輝は正直、転入生のがここまで

サッカーが上手いとは思いもしなかった。



「黒、お前ディフェンス上手いなー」



に抜かされた瞬間のことを思い出していた柾輝は

の言葉によって我に帰り、こちら側に戻ってきた。

「そっちこそ。お前がそんなにサッカーが上手いとは思わなかった」

「え!?何!?俺ってそんなに運動音痴に見えるの!?」

「いや、見た目的にスポーツはやらなさそうな感じが・・・」

「人ヲ見カケデ判断シチャダメネー」


「「・・・・・・」」



二人は顔を見合わせると同時に笑い出した。



このとき、二人の間には友情という名の花が咲いた。

のお友達一号の出来上がりである。






――――・・・昼休み


4時間目の授業が終わると翼からメールが届いた。


柾輝のクラスに茶系色の髪をした奴いるだろ
ソイツ、ちょっと昼食に招待してくんない?


という内容だった。

頼んでいるように見えるが、これは強制的・・・

いや、命令に近いものだった。

柾輝は小さく溜息をすると、隣にいるに話しかけた。



「なぁ、。これから紹介したい奴がいるんだけど」

「ん?何?黒の友達?」

「・・・まぁ、そんなようなものかな」



柾輝はまだ自分がサッカー部に入ってる

とはに教えていなかった。

まぁ、聞かれもしなかったから答えなかった。

という方が適切だと思うが・・・


かくして柾輝はを屋上へと連れ出したのである。




「おっ、来たな。柾輝」

「あぁ。約束どおり連れてきたぜ」



すると、柾輝の背後からひょっこりと顔を覗かし



「どぉも〜黒の友達の で〜す」



と、とても愛想のいい笑みを浮かべて自己紹介をした

このの笑顔光線にあたった男子'sはノックアウトされてしまった。



「?話しが違くない柾輝。だれが女子連れて来いって言った?」

「何言ってんだ、翼。コイツは・・・」



柾輝が続きを言おうとしたがが柾輝の顔の前に

手を当てたために続きがいえなかった。

その間にが笑みを作って喋った。

それはもう楽しそうに。



「ちなみに、2-2組に転入してきた
 かわいい謎の男子生徒とは、俺のことで〜〜〜すv」



語尾にハートがつきそうないきおいで(いや、もうついてるが)語った



「「「えええぇぇ!!?男!!!??!」」」



皆して声をそろえて叫んだ。



「柾輝!お前一言も男だなんて言ってないじゃないか!」



五助が吼える。



「俺は一言も女が来たなんて言ってないぞ」



どうやら、柾輝の情報提供不十分のせいで勘違いをしていたらしい。






「じゃあ、要するに柾輝が言ってた変な転入生と僕達が連れて
 来いって言って柾輝が連れてきたコイツは同一人物だと」



一通りに自己紹介もし終わってから

自分達の認識の間違いに翼がまとめあげた。



「まぁ、そういうことになるな」

「どこで情報が間違っちゃったんだろうね〜?」

「柾輝が転入生のことを“かわいい系”なんて言うからや」

「ん〜でも俺かわいいし?しょうがないんじゃん」


「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」


「んで、なんで俺をここに呼び出したんだよ
 もしかして集団リンチってやつ?ヤキいれたろか〜って」

「ヤキいれたろか・・・っていつの話だよ」



の言葉に呆れる柾輝。



にはまだ言ってなかったけど実は俺サッカー部なんだよ」

「あぁ。確かにここにいる人皆それっぽいや」



と言って皆を改めて見渡す。



「ということは、もしかして俺を勧誘にしにここまで連れてきたってわけ?」

「そういうこと。二時限目の体育の時間ののプレーを見せてもらったよ。どう?入らない?」

「え〜ヤダ!」



の答えは非常にさっぱりしたものだった。



「サッカー部に入りたくない理由10個以上言ってもらおうか。言えなかったら入部決定ね」

「っ・・・・!」



翼のあまりにも横暴な言動に息を詰まらせる



「え〜・・・と・・・まずはー汗臭い!汗かくの嫌い!動きたくない!男臭い!花がない!」



一方、が断る理由を一生懸命考えている後ろでは

直樹と畑兄弟がお菓子を広げていた。

の勧誘は翼と柾輝に任せて

俺達はおやつタイムにしようぜ、といった感じだ。



「ん〜と・・・それからーそれからー部活をやると見たいテレビが見られない!ヤッター10個言えたぞー!」

「もうちょっとまともな返答がほしかったんだけどなぁ・・・」



ちょっとひきつった笑みを浮かべてに詰め寄る翼。



「まともな理由って言ってないじゃん。約束どおりサッカー部の入部はナシね」



はプイと顔を翼からそらした。

そらした先には直樹達がお菓子をいろいろ広げて

食べている光景があった。

はそのまま直樹達のほうに直進した。

翼の声を無視して。



「うわー!それ最近でたばっかのお菓子じゃん!」



目をキラキラさせて言う

どうやらお菓子には目がないらしい。

その様子を見ていた翼が怪しい笑みを浮かべた。



「僕のこのゼリー食べる?」

「えっ!ええの!?」

「お前には言ってないよ直樹」



ピシャリと言い放つ翼であった。



「食べていいの!?」

「うん。その代わりサッカー部に入ってよ。そしたらあげる」



は大いに悩んだ。

今ここで幻のゼリーを食べて

サッカー部に入るか、食べないでサッカー部に入らないか・・・

しかし、の中ではもう答えは決まっていた。



「欲しい!サッカー部入るからそれちょうだい!」



のこの返答を聞いて翼はニヤリと笑みを作った。

翼はこの時からの取り扱いの方法を覚えたのだった。








◆◇◆ あとがき ◆◇◆

あわーやっと第二話書けました〜

やはり下書きがないとつらいですね・・・

前々からちょこちょこ書いてたんですけどねぇ

結局何ヶ月もかかってしまった・・・!




* *