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翼のいとこ、こと西園寺玲こと、アキちゃんに

拉致られ東京選抜合宿に参加することになりました

です

フッフッフッフッ・・・

この姿を見て、よもや男だと思うやつはいまい

どっからどう見ても完璧な女だ!












女装











アキちゃんと分かれて俺は合宿所を見学しようとブラブラと歩いていた


「ここがグラウンドかーわ〜天然芝生〜」


たまたまグラウンドに出てきてしまった俺は天然芝生のあまりの綺麗さに声を漏らしてしまった

グラウンドを眺めていると芝生の上でゴロゴロと寝っ転がる二つの影が見えた

いいな〜俺もゴロゴロしたいな〜


「見ろよあれ」


声がしたので振り返ってみた

その声の主は俺のすぐ後ろに立って、芝生の上でゴロゴロしている二人に視線を向けていた


「芝生なんかではしゃいでるぜ」


うっ・・・芝生なんかではしゃいじゃいけないのかよ・・・!

ちょっと、この三人に殺意が湧いた


「ダッセー」

「カッペ丸出し!」





カッペ!!?



カッペってなんだ?

カッペ・・・カッペ・・・カッペ・・・・カッペってゆうと―・・・

ドイツ語か?
                                              
はり
炭鉱などの長壁切羽の天盤を支持するため、鉄柱の上に取り付ける金属製の梁

のことをカッペっていうんだけど・・・

と、いうことは・・・・





梁丸出し!?!!?





意味わかんねぇ・・・・・・・・・・・




あそこにいるゴロゴロしてる二人のどこが梁丸出しなんだか・・・

どこにも梁なんか出てないよな?





「あ、あの・・・」

「?」


どこに梁があるのだろうとゴロゴロしている少年達に思わず走り寄って

じぃ〜っと観察していたら、黒髪のちっちゃい子に声をかけられてしまった


「何か・・・僕に用でも・・・・・・?」

「あ・・・あぁ!何でもない!何でも!!ただ、ちょっと梁があるか見てただけ!!」

「「「「 はり? 」」」」


その場にいるちっさい子と糸目の子と垂れ目と無表情な奴が声をそろえて言った

しまった!梁があるか見てた、だなんて変な奴だと思われてしまうやも・・・!


「・・・俺たちを見定めてたのか?」


垂れ目が話しかけてきた

よ〜く見ると、中々顔立ちが整っててカッコイイ

さしずめ、垂れ目王子ってとこかな


「?」

「だから、俺たちに張り合いがあるかどうか見定めてたのか?」


梁を張り、と解釈したらしい垂れ目王子

この解釈の仕方に便上するしかないよな。うん、うん


「うん。そうなんだ〜この合宿にどういった強者が来てるのか、一、プレーヤーとして気になってたんだ〜」

「でも、君・・・女の子だよね?」


はぅ!忘れてた!今は俺、女子マネジャーとして合宿に参加中だった!

プレーヤーなんて言葉、使っちゃいかんよ

だってここは男子だけのサッカープレーヤーが集まっているハズの合宿なんだから


「合宿のマネージャーかなんかで呼ばれたんじゃないの?この子」


糸目の子が助け舟を出してくれた。ありがたい


「そうなんだ〜ワタシ飛葉中の2年、 子。今日から3日間あなた達の世話をするんでよろしくねv」


俺は最上級の笑顔を四人に送りつけた。もちろん語尾にハートマークをつけるのも忘れずに

女の名前が安易すぎるとかいうなよ?


「俺は桜上水中の2年、不破 大地 だ」


無表情な奴が自己紹介してきた。それにつられるように垂れ目王子も自己紹介してくる

ほんのり、頬が赤い


「俺も桜上水中の2年、水野 竜也 」

「僕は 杉原 多紀 、よろしくね」


タッキーは学校名、教えてくれないのか―・・・

むぅ、秘密主義者っぽいな。タッキー

そして、最後に顔を真っ赤にさせたちっさい子が自己紹介をした


「僕は桜上水中の2年、風祭 将・・・です」


風祭・・・なんかハデな苗字だなぁ

でも将って2年なんだー見えねー

まぁ、俺も人のことは言えないよな。俺の今の身長は153cmだし

目指せ!160代!!


「不破に水野にタッキーに将ね!これから3日間がんばってね!」


俺はそれだけ言うと、早々に立ち去った



これから3日間、楽しくなりそうだ











俺は将達の出会ってルンルン気分で廊下を歩いていた


しかし、俺はあるものを見つけると段々と足取りが重くなってきて、ついには立ち止まってしまった

俺の目の前にいるのが飛葉中メンバーだったからだ!

くっそう!選抜合宿、最初の難関かぁっ!!!


自動販売機の前で立ち止まって喋ってないで、さっさと行けよー

と思いながら俺は翼達と数メートル離れたところで立ち止まっていた

・・・まだ、動く気配はない

しょうがない・・・・俺から動いて翼達に気づかれずにすれ違うしかないか・・・

俺は意を決して足を前へと動かした

すると、向こうも動き出し、あろうことか俺の方に向かって歩いてきた!!



ヤヤヤヤヤヤヤ・・・・・・ヤバイ!!


!最大のピーンチ!



翼達は談笑しながらこっちにやってくる

俺は足を止めるわけにもいかず、前へ前へと歩き続ける

そして・・・・

翼達とやっとすれ違うことができた

ホッ・・・


「おい、お前」

「!!!?!」


ホッとしたのもつかの間、俺はすれ違ったばかりの翼に声をかけられてしまった


「な、なななななななんでしょう?」

「ミーティングの時間って何時からか知ってるか?」


どうやら、俺を女子マネージャーだと思ってくれたらしい

助かった


「えっと・・・今から30分後ですね」


俺はなんとか笑顔で返す


「ふーん・・・ありがと。お礼といっちゃあ、なんだけど・・・これ、あげるよ」

「えっ!本当!!?」


俺の目の前にあるのは “夏限定!パイ●実「バナナカスタード」味” !!

俺はすぐさま翼の許へ行きパ●の実を受け取った


「ありがとう〜翼vv」












俺は恐る恐る翼の方へと顔を上げた


「やーぱり、だったんだー何してんの?こんなところでそんな格好して」


翼はそれはもう綺麗すぎるほどの笑顔をニッコリと浮かべていた











あぁ・・・神様、この東京選抜合宿は何やら波乱の予感です













◆◇◆ あとがき ◆◇◆

第四話仕上がりました〜

第三話から何ヶ月経っているんだか・・・

とりあえず主人公、初っ端からバレてしまいましたね。さすが翼さん!

いや、しかし、お菓子をネットで調べていたら

パイの実の「バナナカスタード」味が出てきたので驚きました。

こんな味も出てたんですね〜

んでもってカッペなんでが、あれって「田舎っぺ」の略称なんですよね〜

つまりは田舎者ってことですよね。





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