一期一会
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「少年、始業式だよ。早くおきなー」
どこからともなく、まるで朝のワンシーンのようなセリフが聞こえた
実際に今朝、母親に似たようなセリフで起こされたし・・・
「・・・あんた誰」
俺は目を開けて俺を起こしたであろう人物に目を向けた
俺よりも少し年上ぐらいだろうか
童顔でしかも中性的な顔立ちの先輩は
頭に長めのバンダナを巻いている。
「フッ、よくぞ聞いてくれた越前リョーマ君!」
先輩らしき人はなぜか誇らしげに胸を張って言った
ん?何でこの人は俺の名前を知ってるんだ?
俺は先輩の言葉を遮るようにして先に質問することにした
「何で俺の名前知ってるんっスか?」
「それはね、ボクがこの学園の秩序を守るヒーローだからさっ!」
「あの、全然答えになってないんだけど・・・」
そもそもヒーローだからってなんでもかんでもわかるわけないじゃん・・・
「なぜ、ボクがヒーローなのかは始業式に出れば分かることだけどねっ!」
ダメだこりゃ
話が・・・言葉のキャッチボールが上手くいかない・・・
「だから君も早く始業式に行くといいよ、1年2組2番、越前リョーマ君
ハイ、これ」
そう言うと先輩は俺に新入生がつける花
と学校の見取り図が書いてあるパンフレットを俺に押し付けた
そして、これらを手渡すと俺のテニスバッグをヒョイと持ち上げた
「荷物はボクが持っていってあげるから
君は早く体育館目指して走った方がいいよ。何せ―・・・」
先輩らしき人は指を三本立てて俺の目の前に突き出すと爆弾発言をした
「始業式まで後三分だからね♪」
「・・・・・・・・・!!!!!!!!」
俺はその言葉を聞くなり勢い良く走り出した
後方で先輩が手をヒラヒラしながら
「が〜んばれよ〜青少年〜」
と言っているのを見てしまった
******
なんとかギリギリ間に合った俺は
校長だとかの話を聞きながら眠りこけていた
けど、たった今、目が覚めた
すこぶる不機嫌な夢を見たからだ
今朝、桜の木の下で俺を起こしてくれた人物が夢になぜか現れたのだ
・・・それだけアノ人のインパクトが強かったのかな・・・・・・・・・
何となく左隣を見てみるとスピスピと気持ちよさそうに寝ている奴がいた
幸せそうでいいな・・・
そういえばコイツ、俺が遅れて体育館に来た時から寝てたな
そんなことを思っているとアナウンスが
閉会の言葉に突入したことを告げた
これで始業式は終わりか
そう思っていた矢先だった―…
『ども、コンチハ☆
副生徒会長の でっす!!
新入生の皆、お疲れ様。これで入学式は終わりだよ〜
それじゃぁ 解散〜〜』
クルクルと落ちてきて綺麗に壇上に着地してきた人物は
今までの緊張した式をぶち壊すような
緊張感のかけらもないノリで言葉を放った
しかも、その人物には先ほどの夢でも見たし
今朝の桜の木の下で会った人物だった
さっき見た夢が正夢じみていて怖い・・・
周りを見てみれば皆、引いていた
そりゃあそうだろう
俺もかなり引いてるし
「スッゲー・・・くぁっこいい〜〜〜〜」
という声が左隣から聞こえたので俺はそっちを見てみた
すると、さっきまで爆睡してた奴は瞳をキラキラと輝かしていた
******
教室で担任の先生が来るまで待機していると
クラスの話題はもっぱら先ほどの始業式のことだった
「最後のあのパフォーマンスかっこよかったよな!」
「そうそう!決まってたよな!」
「あの長いバンダナが更に印象を深めていい感じだったよねー」
「まるで特撮のヒーローショウを見てるみたいだったよ」
え?あんな人がこの人達にはヒーローに見えるの!?
おかしい・・・おかしすぎる・・・
俺は何気なく目の前にある日めくりカレンダーを見た
そこには今日の日付と四文字熟語が書かれていた
『一期一会』
意味は一生に一度だけの出会い
確かにあんな変こりんな人は一生に一度しか巡り合わないだろう・・・
そんな一生、いやだ・・・・・・
+++後書き+++
書き直しいたしました。
今回は何があろうと一話簡潔で四字熟語をお題(?)
として書いていこうと思います。
内容は変えずにお話しの流れだけを変えて書き直していきます。
天神 魔利 |
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