時代思潮






「今日から生徒会長を務めることになった手塚国光だ。皆、サポート宜しく頼む」





生徒会役員が決まった次の日に

役員の初顔見合わせをした直後に、もう役員の仕事がやってきた

それは、先代が残していった大量の資料の整理だ

俺は、手塚先輩に頼まれた資料を

生徒会長専用の部屋へと運んでいる途中だった



ドタンッ



・・・・・・?


扉の前を通り過ぎようとしたとき

中で物音がしたので思わず足を止めてしまった

なんだろう、と思って中を見ようとドアノブに手を近づけた




「いっつ・・・もう!クニクニ酷いじゃないかっ!!」




中から副生徒会長に選ばれた先輩の声が聞こえた

クニクニ・・・ということは手塚会長も中にいるのか・・・?

中で何してるんだろう・・・

俺は何となく中に入るタイミングが掴めないので

そのまま扉の前で聞き耳を立てることにした




「すまん・・・だが、嫌なら止めてもいいんだぞ?お前、もう限界だろう」

「いーよ別に。ボクがしたいって言ってるんだから
 クニクニは気にしないでよ」

「いいのか?」

「いーの!ほら、手が止まってるよ」

「あぁ・・・すまない。ここはもう大丈夫か?」

「あ、イヤ!ダメ!そこは・・・
触っちゃダメェ――!!



バサバサバサドサバサバサバサバサバサドサドサバサバサドサ・・・・・・・・



・・・本当に中でなにやってんだろう・・・・・・



ガチャッ



「!!?」




「クニクニがそんな横着者だったなんて、バカァ―――」




と言って部屋から飛び出してきたのは目元に涙を浮かべた先輩だった

先輩が扉を思いっきり開いたおかげで鼻にもろに当たってしまい、俺はその場に蹲ってしまった




「待て!待ってくれー―――――!!」





まるで妻に逃げられた夫のごとく叫んで部屋から出てきたのは

生徒会長の手塚先輩だった

そして扉にもたれかかって呟く手塚会長



「この部屋を俺、一人で片付けろというのか・・・?」



そんな会長を見つめていると会長が俺に気づいた



「・・・?どうした?そんな所に蹲って」

「いえ・・・別に・・・資料を運んでいた途中だったんです」



俺は赤くなっているだろう鼻を押さえながら資料を拾った

鼻血が出てなくてよかった・・・



「ところで、その・・・中で一体、何をやっていたんですか?」



すると、先輩は苦い顔をして言った



「ここの資料室の掃除をしていたんだが
 崩れやすい資料の山を俺の不注意で崩してしまったんだ」



手塚先輩の説明を聞いた俺は部屋を覗いてみた

あー確かにこりゃひどい有様だ・・・

窓を開けているのに埃が部屋に立ちこもっている

・・・て、ことは先輩の歯切れが悪かったのは埃のせいで

あのとき出て行った先輩の目に浮かんでいた

涙も埃のせいだったのか・・・?



「会長、この資料を生徒会室に置いてきたら俺、ここの掃除手伝いますよ」

「すまない。さっきの失敗でにすっかり愛想をつかれたみたいで…
 手伝ってくれるのはありがたい」



・・・あんた達、夫婦ですか!?

と、突っ込んでやりたかった・・・







あの副生徒会長のおかげで

新しい行事を増やすためにいろいろ大変な目にあい

かなり、ごたごたした生徒会ライフを送ってきた

この生徒会にも大分慣れてきた

俺が書記を務めてから1年も経つのだ

慣れなきゃおかしいだろう



「オッハローん♪」



しかし、1年経っても慣れないものがある・・・



「見て!皆!ボクとクニクニの愛娘!」

「きゃーかわいいー」

「どうしたんっスか?コレ?」

「名前はもうお決めになられたのですか?」

「そうだねーテディベアだからテディちゃんかなー」

「先輩に似てかわいいですねーこの子ー」

「やーお世辞でも嬉しーなー。テディちゃんを産むの、大変だったんだよー」



そう!このノリだ、このノリ!

皆のこのノリには俺はついていけない!慣れない!



「先輩ひどいっス!俺に内緒で子供を作るなんて・・・」

「ゴメン・・・後で説明をするつもりだったんだ・・・」

「この泥棒猫がっ・・・!」

「はっ!お義母様!?」



でたっ!昼ドラ!

俺にはこのノリは無理だ・・・

俺は皆とは一歩離れた場所で皆の昼ドラを見届けている



ガチャ



するとドアが開いた

手塚会長のお出ましだ

なんでこの人はこう、タイミングが悪いんだろう



「何を騒いでいる」



先輩以外、皆一斉に手塚会長の方に向いた

心なしか、会長が少したじろいでいる風に見えるのは何故だろう



「何をって・・・決まってるだろ?
 ボク達のベイビーを生徒会の皆に自慢をしているところさっ!」




すっごくいい笑顔で振り返る先輩

あぁ・・・眩しい・・・・・・



「俺はお前の子など産んだ覚えはない」





出たぁ―――――!!!

手塚会長の天然攻撃ぃ――――――――!!!!



生徒会を1年やっていて気づいたことがある

それは手塚会長が実は天然記念物だということだ


会長の一言でまた昼ドラ第2ラウンドが始まった



「・・・結局まともなのは俺一人だけか・・・・・・」



はぁ、と溜息にまじりに呟く



「いや、案外君も普通じゃないよ」

「はい?いや、俺は普通じゃないですか先輩」



すると先輩はフルフルと首を横に振った



「きっぱりはっきり言おう!君は変だぁ――――!!」



指をさしてきっぱりはっきり猪木口調で断言する先輩

先輩の言葉に皆も口々に俺は変だと言い始める

嘘だ!俺はまともだ!



「確かに、お前はほどじゃないとは言え、いささか変なところはあるな」



と、会長にも言われてしまった・・・



「会長・・・あんたに言われたかないです」





こんな感じで俺らは生徒会をやっている

ここは・・・変人の集まりと見た







+++あとがき+++

第三者視点から見た生徒会の光景でした。

君がいる生徒会はこんな感じです。

ちょっと、魔利の部活の光景に似ています。

んでもって魔利は手塚さんは天然だと信じています。

あの人は天然だよっ!(断言)