率先躬行






「あのーすみません〜クニクニ、どこにいるか知りませんか?」



ボクは今、クニクニに判子を押してもらいたくってクニクニを追ってテニス都大会の会場に来ています

でも、どこにクニクニがいるのかはボクにはクニクニレーダーがついてないからわからないので

適当に目についたオレンジ頭の人に道を聞いてみることにしたのだった



「何々?どうしたの?お兄さんが聞いてあげるよ」


すると、オレンジの人はくるりとボクの方に向いて優しく対応してくれた

よかった。親切な人で


「あの、クニクニっていう人の居場所を知りたいんです」

「ねぇねぇ、君の名前を教えてよ。あっ!あとメルアドも」

「あの、クニクニっていう人の居場所を知りたいんです」

「そっか、まずはこっちから自己紹介しないとね俺は千石清純。で、君は?」

「え・・・あの・・・ボクはです。あの、クニクニっていう人の居場所を知りたいんです」

「へーちゃんって言うんだ。ねぇこれから俺とどっか行かない?」


どっかって・・・もしかしてクニクニのいるところに連れてってくれるのかな?


「あ、じゃあお願いします」

「よし!じゃあどこ行く?」

「ボク、クニクニのところへ行きたいんです」

「クニクニ?」

「またの名を手塚国光とおっしゃいます」


ボクがクニクニの本名を言うとミンミン(清純のこと)は少々驚いていた


「何々!?手塚君と知り合いなの!?」


ボクはコクリと頷いた

すると、あろうことかミンミンは

変なことを言い出した



「なーんだ。手塚君の彼女なのかぁー」





ちょっと待って




「ボク、彼女にはなれないよ。だって男だし」

「ええっ!?」


ミンミンはボクのことをジロジロと上から下まで見下ろした


「あっそういえば君、制服着てるね・・・」


なんか知らないけどショックを受けてる

今のボクの格好は制服姿(学ラン)に猫耳のついた帽子を被っているかんじ


「あ、あのぅ・・・クニクニのところへはどう行ったら・・・?」

「手塚君ね。俺についてきなさい。案内したげるよ」



本当にいい人だなぁミンミン・・・




ミンミンとは途中でわかれた

試合だからって猛ダッシュで駈けて行った

ミンミンとはメルアドも交換しあって友達になれた


ミンミンと友達になれたのはよかったんだけど・・・中途半端に道案内されたせいかまたしても迷ってしまった

しょぼーん・・・


「あら?もしかて、アナタ・・・春月君?」

「え・・・アンアン!?」


ボクに話しかけてきたかわいい女の子は

ボクが時々通っているストリートテニスで知り合った 橘 杏 っていう子だった

まさかこんなところでアンアンに会うなんて思ってもみなかった

ボクはアンアンに事情を話して道案内をしてもらっていた

あぁ・・・アンアンが天使に見える〜〜

他愛の無い話をしながら歩いているとどこからかボク達のほんわかムードを壊す声が響いた



「杏ちゃ―――ん!」



誰だ!

アンアンとボクの時間を邪魔してくれた奴は!!!



ボクは声をした方を向いてみた

すると、黒いジャージを着た人が手を振りながらボク達の方にやってくるではないか!

しかも、よくよく見てみると


目が一個しかついていない人間だった!!

き、鬼次郎!!!?!

もし、鬼次郎だったらどうしよう・・・


サイン欲し――――い!!!




「あっ、神尾君どうしたの?」

「どうしたもこうしたも・・・・・・・・・・・何見てんだよ・・・」


どこかに目玉オヤジが潜んでいないかと思い

鬼次郎君のことをジロジロ見ていたのがバレたのか、睨みをきかせてボクに言ってきた


「ねぇ、君。
目玉オヤジはどこにいるの?

「いねぇーーーーよ!!!!」

「えっいないの!?鬼次郎なのに!!?」

「だれが鬼次郎かっ!!!」


ショック・・・・

ボクは今すっごいショックを受けてるよ・・・

ボクの目の前に立っている青少年は絶対、鬼次郎だと思っていたのに・・・!

ちくしょー!裏切られた!!!


「まぁまぁ二人とも、落ち着いて。神尾君、この人は青学の3年生の

 で、こっちはうちのテニス部の 神尾 アキラ 君」

「って!えぇ!!?この人俺らより年上だったのかよ!?」

君、童顔だから年上に見えないのよねぇ」


なんだか、酷いことを言っているような気がするけど

ボクはアキアキの名前にどこにも鬼次郎の接点がないことに再びショックを受けていた


「そういえば神尾君、何か用事があったんじゃないの?」

「あ、そうだった。試合が始まっても杏ちゃんが来ないから

 ダブルス1の試合が終わったから足の速い俺が杏ちゃんを呼びに来たんだよ」

「えっ!そうなの!?じゃあ見に行かなきゃ・・・」

「ちょっと待ったぁ!!アンアン、もちろんボクを置いていったりしないよね?」

「あっそうか・・・道案内」



・・・・・?

道案内?なんのこと???



「いや、ボクはアンアン達についていきたいんだけど・・・」

「えっ、だって道に迷ってて青学のところに行きたいんじゃないの?」



あぁ!

なんか鬼次郎の出現ですっかり忘れてたよ!!!




「うん。そうだったね。でも、不動峰vs氷帝の試合見たいし・・・試合終わってから道案内頼んでいい?」

「そうしたらもう今日の分の試合終わってると思うんだけど」

「あーそっか・・・」


ボクはシュンとなった

試合は見たいけど、クニクニに会ってサイン貰わないといけないし・・・

どっちかを優先させるとしたら多分クニクニの方なんだよなぁ

でも試合は一度しか見れないし・・・

ボクが一生懸命、悩んでいるとアキアキが声をかけてきた



「氷帝とウチとの試合だから向こうからやってくると思うんっスけど」




!!そっか!



「そっか、そうだよね!ボクくらいのカリスマ性をもった人間だったら


 
向こうからボクに会いに来てくれるよね!

 では、早速行こうかお二方」



そう結論づけてルンタッタ♪っとスキップしながら前を歩いていったら

アンアンに呼び止められた


「あっ、君そっちじゃなくてこっち」



あう・・・逆方向だったのね・・・








氷帝の応援につられて思わずボクも氷帝の応援をしてしまったりして

何だかんだ言って結局ボクはシングルス3まで見ていた

さすがアンアンのお兄さん!強いね〜

あ〜なんだかテニスがしたくなってきたな。今日、ジロジロのとこへ行ってみようかな

そろそろ、その辺ブラブラ歩いてみよう

もしかしたらクニクニに会えるかもしれないし


そう思って周りを見渡しながら歩いていたら青と赤と白のラインが入ったジャージをすぐに発見できた

こういうとき、ボクの視力のよさは役に立つよね



ズダダダダダダ・・・・・



「クニクニーーー!会いたかったよ〜〜〜」



そう言ってボクはクニクニへと飛びついた


!?なぜ、ここにいる!!?」


ボクが飛びついたのにもかかわらず、クニクニは踏ん張ってかろうじて倒れることをまぬがれた

ふむ。流石、普段からボクが飛びついて鍛え上げてることはあるな


「何でって、ボクわざわざクニクニに企画書に判子を押してもらおうと思ってこんなところまで来たんだけど」

そう、それはそれはクニクニに会うまで遠い道のりだった…

「・・・そうか、それはご苦労だったな。で、なんの企画書なんだ?」

「体育祭の」


ボクは鞄の中から企画書を一枚取り出してクニクニに手渡した

クニクニがこの企画書にサインを書けば・・・・・・うししししし

今年も楽しくなりそうだな〜体育祭!


サラサラと企画書にサインを書いたクニクニ

書いたね。クニクニ・・・(ニヤリ)


「これで、いいのか」

「うん!ありがとうクニクニ。明日はお休みだから、今日のうちにファックスで提出すれば後は楽な仕事になるぞ〜」


ヒャッホーイ!と飛び回るボク


「いつも、いつもすまないな」

「ん?いいってことよ。クニクニは青学テニス部を全国へと導く大切な役割があるんだし」

ボクなんかよりクニクニの方が数倍は苦労してるもんね


、来てたんだね」

ボクとクニクニの話が一段落したところを見計らってシュンシュンが話しかけてきた

「青学の試合、見に来てくれればよかったのに」

「あぁーそういえば試合、勝ったの?」

「もちろん」


うん。よかった。誰が勝ったか、とか知りたかったけど今は結果だけでいいや


「おや?あなたはボクのデータにはないですね」

声がした方を振り向いてみる

「誰?」

「さぁ?」


シュンシュンも知らないの?


「ちょっ!先ほどボクと試合したばっかでしょう!」

「シュンシュン、この人と試合したの?どうだった?」

「ボクが負けるわけないでしょ。こんなオカマに」

「お、オカ・・・!!!?」


「この人、オカマっ!!?」




オカマなんて初めて見たー

へーこれがオカマなんだー


「ジロジロと見ないで下さい」

「うわぁ・・・ゴメンナサイ」


ボクがオカマさんに謝っているとシュンシュンが何かを見つけたらしく一言、叫んだ


「あっ裕太」

え?ユンユン?どこどこ?いた!

「ユンユン〜久しぶり〜!試合どうだった〜?」

「!先輩!・・・・え・・・と試合は・・・」

「俺が勝ちましたけど」


ユンユンが口ごもっている間に後ろにいるリョンリョンがユンユンの代わりに答えた

そっかー負けちゃったのかぁ・・・

残念だなぁー

でも・・・・


「相手が悪かったんだよユンユン。しょうがないことだねそれは」

「先輩・・・慰めてるんですか、けなしてるんですか・・・・?」


「やだなぁ慰めてるにきまってるじゃないか」


アハハと声をたてて笑うボク


「裕太君。この人は誰なのですか?」

「え・・・とこの人はですね、観月先輩・・・」

「青学の秘密兵器だよv」


ユンユンがボクのことを言う前に話しをはぐらかした

だってこんなところでボクのことをばらすのも、もったいないじゃん

これを期にシュンシュンはユンユンを取って兄弟水入らずの話しをはずませている

オカマさんもこれ以上の追及はせずに肌が黒い人と話している

多分、独自で調べようとか思ってるんだろうな

研究熱心なのはいいことだ。うんうん







そして、ボク達は会場を後にし帰宅をしようとバスに乗った


「あーあクンクン(海堂のこと)もモンモンもリョンリョンも寝ちゃったねー」

「そうだな。それほど疲れたのだろう」

「皆、頑張ったもんね」

「あぁ」


・・・ここいらで寝ている人たちの寝顔写真でもとっておこうかな

もしかしたら、今後、何かの役に立つかもしれないし

ボクは鞄からデジカメを取り出して

まずはリョンリョンとモンモンが仲良く寝ているところをカメラに収めた

そして、次にクンクンを写真に収めた


「秋月恭・・・押してやれ」

「幸、代わりに押して」

「うん。いいよ。じゃぁ国先輩、俺押しま〜す!」



ピンポーン・・・



別に宣言しなくってもいいのに

本当に面白いねあの子

・・・っとこうしちゃいられないボク次の駅で降りなきゃいけないんだ

ボクはクニクニの隣の席まで戻って荷物を整頓させた

そうしているうちに駅についてしまったようだ


「あ、ボクはここで降りるね」

「お前こっちの駅じゃないだろう?」

「今日はちょっとこっちに用事があるから」

「そうか。気をつけて帰れよ」

「うん。じゃ、皆。お疲れ様〜お先に失礼するよ〜」



ボクはバスを降りてある場所へと向かって歩き出した

向かった先は“越前”と表札がかかっている一軒の家

インターホンを鳴らす



ピンポーン



「ジロジロいるー?テニスしに来たよ」



フフフ。久しぶりのテニス

腕が鳴るぜ!






+++あとがき+++

ちょこっと書き直しました。

本当に微妙に。

ちなみに君は方向音痴ではないですよ。