祭りへGO?!






!」

昨日の部活終了後。

俺は、菊丸英二に呼び止められた。

「……なあに?」

「あ、あのさ……。明日、お祭りがあるんだけど、一緒に行かない?」

…………。

そう、彼は、諦めない、という言葉通り、何かあるたびにこんな事を言ってくる。

もちろん、いつも断ってるけどな。

あーもーいい加減うっとおしいっつーの!

「菊君、せっかくだけど……」

「お祭り?!行く行く!!」

俺が断りの言葉を口にしようとした瞬間、 が会話に割り込んできた。

「え?」

驚いている俺と菊丸をシカトして、 はくるりと俺達に背中を向けて、着替えを終えて部室から出てきた皆に叫んだ。

「なぁ!皆ー!明日お祭りあるんだってー。一緒に行くやつ手ー挙げてー。」

不二と桃城の手が挙がっている。

「おっけ。不二と桃は参加な。他は?」

「悪いけど、明日は用事があるんだ。」

「うーん。俺も明日はちょっと……。」

「僕も、家の手伝いが…。」

乾、大石、タカさんは不参加らしい。

「国光と海堂は???行くだろ?」

「……そうだな。」

「…ッス。」  

「決まり。メンバーは俺と 、菊丸、不二、桃、国光、海堂な。んじゃあ、明日6時に神社前集合ー!」

と、勝手に がまとめてしまった。

後ろで菊丸が皆で行く事になってしまったと、情けない顔をしている。

が、そんな事はどうでも良い。

「ちょっと、 ?」

俺は の襟元をつかんで引き寄せた。

「ぐえっ…… 、何するんですか。息が……」

「ちょっと?どういうつもり?」

「……だって、俺お祭り行きたいんだもん。それにさ。」

ここで は小声になった。

「断るつもりだったろ?菊丸、可哀相じゃん?」

そういうと、 はさっさと俺から逃げるように皆の方へ走っていってしまった。

「…全く……余計な事を……。」

















pm6:00 

神社の中には色々な屋台が並び、大勢の見物客であふれかえっていた。

そして、俺の周りも。

「ねぇねぇ 、何か欲しい物はある?」

先輩。俺、射的とか得意なんスよ。欲しいのがあったら取ってあげますから言ってくださいね!」

さっきからずっと、うっとおしい2人が付きまとっているのだ。

も周介も俺を助けようとしねぇし!

「………。」

よし、決めた。

俺は決めた。

こうなったら、菊丸と桃をとことん弄んで楽しんでやる。

こっちが振り回される事はない。

こっちが天然女の振りでもして振り回してやれば良いってことだ。

そう決心して、俺は、一つの屋台を見て、小さく呟いてみせた。

「あ、金魚すくい……。あれ、難しいわよね。私一度もとれた事無くて。」

途端。

目を輝かせた2人が同時に叫んだ。

「「俺が取ってあげる(あげます)!!」」




それから。

なぜだか、海堂も混じっての三人で金魚すくい対決をする事になっていた。

菊丸達がおじさんにお金を払っている間に、俺は に近づいていった。

「ちょっと……。」

「あ、 。」

「…………なんで助けないのよ?」

「だ、だって、さあ……」

「なに?」

「邪魔すんなって菊丸に釘刺されたんだもん。いーじゃん。おまえなら上手くあしらうだろ?今だって見事な操作ぶりで……」

「当たり前でしょ!いつまでも振り回されててたまるかっつーの!」

「だろ?だから良いじゃん。それよりさ、誰が勝つと思う?」

まだ言いたい事はあったけれど。

の話題変換に付き合ってやる事にした。

「……そうね……。じゃあ、私は桃君にいちご飴で。」

「桃か。じゃ、俺は海堂にチョコバナナだな。」

こういった賭けは俺達兄妹の間で良く行われている。

そのせいで、今、俺達は性別を偽ってるわけだけど。。。。。

「あ、じゃあ、僕は英二に綿飴で。」

いきなり後ろから掛けられた声に、俺達は慌てて振り返った。

「……なんだ、周介じゃない。脅かさないでよ。」

「あはは。ごめん。 、やっぱりあの台詞わざとだったんだ。」

「まあね。」

「あーあ。英二も桃も弄ばれてるのにも気付かずにかわいそー。」

「可哀相、とか言いながらちゃっかり賭けに乗ってる奴に言われたくないわね。」

俺が言い返すと不二は軽く肩を竦めてみせた。




「じゃあ行くぞ。よーい、スタート!!」

英二の掛け声で3人が一気に金魚に挑みかかった。

手塚はその3人の横で何かやらかさないかとはらはらと見守っている。

俺達はそれを後ろのほうから見ていた。

「んー。菊丸優勢か?」

……まずいな……。

「……菊くーん、私、出目金が欲しいなv」

その俺の言葉に、菊丸はすぐに標的を出目金に変えた。

よし。

出目金重いからな。

「…… 、卑怯だよ?」

「ふっ。何よ、周介もやれば良いじゃない。」

「……僕がやって誰がそれを聞くと?」

「それもそーね。」

「あーー!!」

前のほうで絶叫が聞こえた。

どうやら、菊丸の紙が破れたようだ。

出目金作戦成功?

「はい、周介脱落ー。約束どーり綿飴ね。」

周介は苦笑して、頷いた。

「後は、俺と だな。」

俺は、俺の勝利を確実な物にする為、金魚の水槽に近づいていき、桃の隣にしゃがんだ。

「桃君。頑張ってねv」

うわっ、卑怯……

なんて言う言葉が後ろから聞こえてきたような気がするが無視だ無視。

すると、 も近づいてきて、海堂に言った。

「おい、海堂!負けるなよ!!お前の自主練は何の為だ!?」

「………少なくとも金魚すくいの為じゃ無いッス。」

全くそのとおりだ。

「何でも良いんだよ!とりあえず、桃には負けんなよ?!」

「……ッス。」

「ああ!!」

と海堂の会話に気を取られていた俺はその叫び声に慌てて桃の手元を覗き込んだ。

……見事に紙が破れてしまっていた。

桃が申し訳なさそうに俺を見る。

「……すいません。出目金、取ろうと思ったんスけど……」

何でお前まで出目金取ろうとしてんだよ?!

「桃ざんねーん。 に良いとこ見せようと張り切り過ぎー。」

俺か?!俺が悪いのか?!

くそぅ……

策士策に溺れるってか……。


そんなわけで結局、対決は菊丸0匹。桃2匹。海堂5匹。ということで、海堂のぶっちぎり優勝という事になった。

そして、俺達の勝負は、 の勝ちとなった。

俺達はそれぞれ、いちご飴と綿飴を買って に手渡した。







それから、俺達は射的を楽しみ、輪投げでエキサイトした。

もちろん俺はやってない。

やっている奴等を賭けの対象にし、楽しんだ。

結果は、射的では得意と言っていた菊丸が優勝し、輪投げでは無理矢理 が参加させた手塚が優勝した。

賭けの結果は、射的では、菊丸を信じた不二が勝ち、輪投げは手塚に賭けた が勝った。




「あー、おもしろかった〜!!!なんか色々食べたし!」

そりゃそうだ。 はいちご飴と綿飴と、たこ焼と今川焼きをすべて賭けで勝ち取って食べたんだから。

食いすぎじゃねぇんだろうか。

「そろそろ帰るか〜?」

が言った瞬間。

「って、 先輩何もやってないじゃないッスか!勝負勝負〜!!」

本日一勝も挙げていない桃が駄々をこね始めた。

「えー。めんどくさ……。しょーがねえなあ。これで最後な。後やってないのって何があるよ?」

「そうね、スピードくじとか?」

「んじゃあスピードくじで!!より良いもんを当てたほうの勝ちでいいッスよね!」

と、 は桃に引きずられるようにスピードくじのほうへ連れて行かれた。

「さあ、 、どうする?どっちに賭ける?」

俺は今日負けっぱなしだ。

今度こそ、という気持ちがある。

……そーだな……。

「……周介は?」

ほら、残りモノには福があるって言うし?

「んー。じゃあ、僕は桃に、焼きとうもろこしで。」

「じゃあ、私は、 にダッコちゃん人形で。」

「………………………………… 。それ僕要らないし。」

俺達がそんな話をしていると。

カランカランカラン

店のおじさんが鐘を鳴らした。

「おめでとう御座います!!」

いつのまにか、 がくじを引いていたらしい。

「3等です!!!」

3等?!

すごっ……。

はおじさんから三等の景品を受け取っている。

…………………………………GBAだ。

いや、もう2つ持ってるし。俺ら。

でも、これで、俺はようやく一勝!

「……これは私の勝ちみたいね?」

俺は周介に振り返った。

「いや、まだ分からないよ?桃は今から引くみたいだしね。」

今から引いたって、まさか、3等以上を出す事なんかできやしな――――

カランカランカラン

あの鐘が鳴り響いた。

「おめでとう御座います!!!!!1等です!!!!」

「…………嘘でしょ……?」

「僕の勝ちみたいだね。」

周介が笑いながら言った。

うそーん………。

何だよ!負けっぱなしなの俺だけかよ?!

しかも一等の景品はPS2だよ!

くそう。

俺、あれ欲しいんだよ!!

しかし、俺が心から欲しい景品を手にした桃は困ったように俺を見た。

「ん〜〜〜。俺、これ持ってるんスよね。 先輩、要ります?」

「要ります!」

と、素に戻って即答してしまいました。

あは?

まあ、俺の賭けの成績は最悪だったけど。

PS2をゲットしたし!!(桃良い奴だなぁ!!!)

あ、ちなみに既にうちにGBAは2つあるので、PS2のお礼に が桃にあげてました。

賭けに負けた俺はちゃんと周介にはダッコちゃん人形を買ってやったし!!

……どうしようか、困ってたけどな。







俺は、祭りに来るのを渋っていたのも忘れて、るんるん気分で家に帰ったのでした。









Fin

大変遅くなり申し訳ありませんでした!!!
ようやく相互記念完成致しました。
「祭り」というリクでしたが、こんな感じで、どうでしょう……?


遅筆野郎ですが、これからどうぞよろしくお願い致しますm(_)m







うわぁ!
なんて素敵なドリームですこと!!
想像以上の出来栄えです
双子の賭け好きさがこのドリームに
表れていて良かったですよ
桃と妹さんの運のよさには驚かされました
魔利は運なんてないので
どちらかというと悪運の方があります・・・
これからもどうぞよろしくお願いします(ペコリ)
                   by 天神 魔利