紙金の錬金術師  〜腕の見せ所〜












ひょんなことからエルリック兄弟と東方司令部まで同行することになった見た目は少年、

の実年齢は今年で20歳なのだがエドワードと同じ年齢に見えるのだ。






「な〜んでオレ達ってよくこんな事件に巻き込まれるんだろうなぁ・・・」

「兄さんがこういう人達を呼んでいるんじゃない?」

「オレのせいかよ!ってか!お前こんなところでまで本を読んでんじゃねぇ!」

エドに読みかけの本を奪われては不服そうな顔をした。

「だって〜こういうときに騒いだってしょうがないし。救助がくるまで大人しくしてるのが利口だと思うんだけど」


今現在、3人は銀行強盗に捕まっていた。

お金を下ろそうと銀行に立ち寄ったところを襲撃されたのだ。


「お前、一応は錬金術師なんだからなんとかしろよ。錬金術師よ大衆のためにあれって言うだろ」

「大衆のためにあれって言っても時と場合があるよ。僕なんかよりエドがやったら?鋼の錬金術師さん」

「オレは、国家錬金術師だから、軍の命令以外は動かねぇ」

「命令でしか動かないのか?それじゃあロボットと一緒だな」

「二人とも、静かに!」

エドワードがプチギレを起こしそうになったとき、アルフォンスがストップをかけた。




しばらくの沈黙後、が口を開いた。


「しょうがないな〜僕が一肌脱いであげるよ」


は立ち上がりジャケットの内ポケットから数枚の紙を取り出した。

が立ち上がったばかりに強盗犯達の格好の的になってしまっている

だが、そんなことはおかまいなしには喋った。


「さぁさぁお立会い。ここにあるのは普通の紙だけど・・・」


パリッと一瞬だが青白い光が放たれた。

錬成反応だ。



「貴様、今何をした!?」


犯人の言葉には耳も貸さずには喋り続けた。

「さっきの錬金術で異常な紙になりました」

「異常な紙って・・・普通の紙じゃねぇか」

「バッカだねぇ〜・・・」



バンッ!



犯人の一人がに向けて銃声を放った。

先ほどから質問しているのに無視をし続けて話しているに腹が立って撃ったのだろう。




「普通の紙が銃弾を受け止められることができると思う?」



の身体には弾は当たっていなかった。

は紙で銃弾を防いだのだ。

エルリック兄弟は二人して驚きの声をあげた。


「「ええええええええ!!?」」


「だって紙だろ!?錬金術で紙を木に変えたとしても銃弾は防ぎきれないぞ!?」

「ふ、ふーん。この紙には超微粒の貴金属があらかじめ紙と錬成されていたのさっ!」

得意気に話す

「なるほど!さっきの錬金術で貴金属同士を結合したんだね」

うんうん、頷くアルフォンス。

犯人達はが銃弾をただの紙で防いだと思っているので顎がはずれるほど驚いていた。



「さっ、一気に片付けますかな」

はまた内ポケットから紙を何枚か取り出した。

その紙には練成陣が書かれている。

その紙を犯人達に投げつける。

紙は空中で錬成反応を起こし、犯人達の顔に張り付いた。

犯人達は驚いて顔に張り付いた紙を引き剥がそうとするが、紙が顔の皮膚に完全に張り付いていて剥がせない。


「今の錬成で紙を一部分だけ木に変えたんだ。紙が張り付いているように見えるのは

 木の根っ子が皮膚にはいりこんでいるせいなんだよ

 あのまま放置しておくと人間の方が干からびるね」

「なんでだ?」

エドワードが尋ねる。

「なんでって、人間の養分を吸ってるから」

「あっそう・・・・・・」

「でも、さんすごいですね!ものの数十秒で犯人達をやっつけちゃうなんて」

「そんな褒めないでよ〜」

兄弟と話している間もは紙で犯人達の銃を切りつけ、ついでに紙でできた縄を縛っていった。








数分後に軍の人達がやってきて犯人達を引き取っていった。

そのときには犯人達はやつれて、紙から木になっていた部分からは葉っぱが生えていた。


あぁ、素晴らしきかな、自然の生命力――・・・・・












「しっかし、が紙の錬成に長けているとはなー」

さんの錬金術、鮮やかですごかったです!」

「はは。あんなの普通だよ〜」

エドワードとは無事に銀行からお金を下ろして今、東方司令部行きの列車に乗っている。



「かなりの童顔のくせにやることは中々えげつなかったけどな」

童顔、という言葉で少しの顔つきが変わった。

「はは。侏儒の君には言われたくないね。せめて若々しいって言ってほしいな〜」

「?シュジュ?なんだそれ?異国の言葉か?」

「あれ〜侏儒って言っても暴れないんだ〜じゃあこっそり今度から侏儒って呼ぼうっと」

「だからシュジュって何だよ!お前の母国の言葉で言われてもわかんねぇんだよ!」





「侏儒っていうのはね、タイニーっていうことだよ」

そんなことも知らないの〜?天才錬金術師の名が聞いてあきれるね




少々小馬鹿にしながら は大げさに溜息をついてからエドワードに意味を告げた。





エドワード、爆発3秒前。

3,2,1・・・0






「だぁれが、ウルトラハイパータイニーだって〜〜〜!!!」







今日も元気に叫びまわる中、一行は東方司令部を目指して行くのであった。















+++あとがき+++

やっとキリリク書き終わりました〜

ハガレン友情ドリームということなのですが

男主人公でよろしかったでしょうかね?

また、ハガレン夢っていうキリリクが来たときには

これの続きでも書こうかと思いまして

未完結にいたしました。

とりあえず美依祢の要望のタイニーと侏儒という言葉が使えてよかったです。

どちらも小さいという意味ですよ。